初めてインドを訪れた日本人の多くが驚くことがあります。
それは、
時間の流れ方です。
約束の時間になっても始まらない。
予定が突然変わる。
電車が遅れる。
停電が起こる。
思い通りに進まない。
日本では大問題になりそうなことが、
インドでは驚くほど自然に受け入れられていることがあります。
もちろん不便さを感じることもあります。
私自身も最初は戸惑いました。
しかし長年インドと日本を行き来する中で、
少しずつ気づいたことがあります。
それは、
インドの人々は「今を生きること」がとても上手だということです。
日本人は未来を生きている
日本社会は非常に優秀です。
時間は正確。
仕事は丁寧。
責任感も強い。
だからこそ世界から高く評価されています。
しかしその一方で、
私たちは未来を心配することにも慣れています。
来月のこと。
一年後のこと。
老後のこと。
失敗しないために。
迷惑をかけないために。
常に先を考えながら生きています。
それは素晴らしい能力ですが、
時に「今」を失わせてしまうことがあります。
インド人はなぜ焦らないのか
インドで暮らしていると、
驚くほど多くの人が、
お茶を飲みながら談笑しています。
道端でも。
商店でも。
アシュラムでも。
忙しいはずなのに、
どこか余白があります。
もちろん全員ではありません。
都会では競争もあります。
しかし全体として感じるのは、
人生に対する信頼感です。
「何とかなる」
という感覚。
日本人からするとあまりにも根拠なく楽観的に見えることもあります。
けれど彼らは、
未来への不安よりも、
今目の前にいる人との時間を大切にしているように見えるのです。
ヨガ哲学が教える「今」
ヨガ哲学では、
過去は記憶であり、
未来は想像であると考えます。
実際に存在しているのは、
今この瞬間だけです。
私たちの苦しみの多くは、
すでに終わった過去を悔やむことや、
まだ来ていない未来を恐れることから生まれます。
だからヨガでは、
呼吸へ意識を向けます。
身体へ意識を向けます。
今ここへ戻るためです。
瞑想もまた、
「今」に戻る練習なのです。
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ガンジス河が教えてくれること
リシケシでガンジス河を眺めていると、
多くのことを学びます。
川は急ぎません。
誰かと競争もしません。
ただ流れています。
昨日の水はもうありません。
明日の水もまだありません。
あるのは、
今流れている水だけです。
だからこそ、
多くの求道者たちはガンジスのほとりで瞑想を続けてきました。
自然は、
「今を生きる智慧」を静かに教えてくれているのかもしれません。
本当の豊かさとは何か
インドには、
物質的には決して豊かとは言えない人もいます。
しかし不思議なほど幸福そうな人たちがいます。
それは、
人生の価値を所有の量だけで測っていないからかもしれません。
家族との時間。
友人との語らい。
祈り。
信仰。
自然。
日々の食事。
当たり前に見えるものの中に、
喜びを見出しています。
私がインドから学び続けていること
私は2012年から、
何十回もインドへ通い続けています。
その中でヨガを学び、
哲学を学び、
多くの人々と出会ってきました。
しかし今振り返ると、
最も大きな学びは、
「今を生きること」
だったのかもしれません。
未来の不安に囚われ過ぎないこと。
過去に執着し過ぎないこと。
目の前の人との時間を大切にすること。
今日という一日を丁寧に生きること。
インドは、
そんなシンプルで深い智慧を、
私に何度も思い出させてくれる場所なのです。
ヨガとは、
特別な能力を身につけるためのものではありません。
今この瞬間を、
より深く、
より豊かに生きるための智慧です。
そしてその智慧は、
今日もガンジスの流れの中に、
静かに息づいています。
RISHIKESH YOGASHALA
Yoga Wisdom
サティヤプレーマ
