女性の身体は、一生同じではありません。
幼い頃の身体。
思春期の身体。
母となる身体。
更年期を迎える身体。
そして、人生後半の身体。
そのすべてが、一人の女性の中で静かに移り変わっていきます。
現代社会では、その変化を「老化」と呼ぶことがあります。
以前より疲れやすくなった。
眠りが浅くなった。
体力が落ちた。
鏡を見るたびに変化を感じる。
そんな身体を前にして、若い頃の自分へ戻ろうと努力してしまう方も少なくありません。
けれど、アーユルヴェーダは違う視点を示しています。
生命は、変化することが自然なのです。
春には芽吹きがあります。
夏には勢いがあります。
秋には実りがあります。
冬には静かな時間があります。
どの季節にも意味があり、優劣はありません。
女性の人生もまた、それと同じです。
若さだけが価値ではありません。
経験を重ねたからこそ育まれる穏やかさがあります。
傷ついたからこそ、人の痛みに寄り添える優しさがあります。
立ち止まったからこそ見えてくる景色があります。
アーユルヴェーダでは、それぞれの年代によって心身の傾向が変化すると考えます。
だから年齢とともに暮らし方を見直すことは、衰えではありません。
今の自分に合った生き方を選び直していく、とても自然な営みなのです。
更年期も、その一つです。
ホルモンバランスの変化だけではなく、人生そのものが新しい季節へ移っていく時期でもあります。
子育てがひと段落する方もいるでしょう。
仕事との向き合い方が変わる方もいます。
親の介護が始まる方もいます。
そして、自分自身の人生を改めて見つめ直す方も少なくありません。
だから、更年期とは終わりではありません。
人生を整え直す、大切な節目なのです。
私は、これまで多くの女性と出会ってきました。
その中で感じるのは、人生後半に輝いている方ほど、若い頃へ戻ろうとしていないということです。
今の自分を受け入れ、
今だからこそできることを見つけ、
今だからこその美しさを生きています。
その姿は、春の花とは違う、秋に実る果実のような豊かさがあります。
アーユルヴェーダは、女性を「治す」対象として見ているのではありません。
人生という長い旅を歩む、一つの生命として見つめています。
だから、身体だけを整えるのではありません。
心も。
暮らしも。
生き方も。
そのすべてが調和したとき、人は本来の健やかさを取り戻していくのです。
女性の人生は、失っていく物語ではありません。
季節を重ねながら、少しずつ深まり、豊かになっていく物語なのです。
次回は、身体だけではなく心にも蓄積していく「アーマ(未消化のもの)」について考えます。
私たちは何を身体に取り入れるかだけではなく、何を心に溜め込んでいるのかにも目を向ける必要があるのかもしれません。
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