人生には、不思議な流れがあります。
若い頃は、何かを得るために努力します。
知識を学び、経験を積み、仕事を覚え、人とのつながりを広げていきます。
家庭を築き、子どもを育て、親を支え、多くの女性は誰かのために懸命に生きてきました。
その一つひとつが、人生を育てる大切な時間です。
そして、年齢を重ねるにつれて、少しずつ問いが変わってきます。
「私は、これから何を得るのだろう。」
ではなく、
「私は、この人生で何を残していけるのだろう。」
そんな問いが、心の奥から静かに生まれてきます。
ヨガ哲学では、「カルマヨガ」という教えがあります。
それは、自分を犠牲にして尽くすことでも、見返りを求めず我慢することでもありません。
自分に与えられた経験や才能、智慧を、自然な形で誰かや社会へ生かしていく生き方です。
花が咲けば、香りは自然に周囲へ広がります。
木が実をつければ、その実は鳥や人々を養います。
太陽は、「誰かを照らそう」と努力しているわけではありません。
ただ、本来の姿で存在することで、多くの命を育んでいます。
人もまた、本来の自分として生きるほど、その存在そのものが周囲へ良い影響を与えていくのではないでしょうか。
だから、人生後半は「役に立たなければならない」と肩に力を入れる必要はありません。
これまでの経験から生まれた優しさ。
失敗を乗り越えてきたからこその思いやり。
人生の喜びも悲しみも知っているからこその深い共感。
それらは、誰かに教えようとしなくても、自然と周囲へ伝わっていきます。
私は、成熟とは、「完成された人」になることではないと思っています。
人生を通して学び続ける姿勢を持ち、その学びを独り占めせず、誰かと分かち合える人になること。
それこそが、本当の成熟ではないでしょうか。
ヨガは、山の中だけで実践するものではありません。
日々の暮らしの中で、家族と向き合い、仕事をし、人と支え合いながら生きる、その一つひとつの行いの中に、ヨガは息づいています。
人生の後半は、失う季節ではありません。
積み重ねてきた経験が智慧へと変わり、その智慧を、次の世代や社会へ手渡していく季節です。
それは、特別な人だけにできることではありません。
誰もが、自分らしい形で歩むことのできる道です。
女性の成熟とは、年齢を重ねることではなく、自分という存在を深く理解し、その人生を静かに周囲へ還元していくこと。
ヨガ哲学は、その旅路を何千年もの昔から、優しく照らし続けてきました。
そして、その成熟を支える古代インドの智慧は、ヨガ哲学だけではありません。
心の在り方とともに、身体や食事、暮らし、季節との調和を大切にしながら、人が本来の健やかさを取り戻していくための智慧があります。
それが、アーユルヴェーダです。
次のシリーズでは、「生命の科学」とも呼ばれるアーユルヴェーダを通して、人生をより健やかに、より自分らしく整えていく智慧をご紹介していきます。
RISHIKESH YOGASHALA
Yoga Wisdom
サティヤプレーマ
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