私たちは、「変える人」に目を向けがちです。
新しいものを創る人。
世界を変える人。
革新的な発想を生み出す人。
そのような人たちは、確かに時代を動かします。
けれど、その一方で、静かに何かを守り続けている人たちがいます。
家族を守る人。
地域を守る人。
伝統を守る人。
自然を守る人。
約束を守る人。
あるいは、目の前の一人の命を守るために働く人。
そのような人たちがいるからこそ、この世界は静かに支えられています。
私は、このような魂の在り方を「守護者」という原型として捉えています。
古代インドでは、社会にはさまざまな役割があると考えられていました。
その中で「クシャトリヤ」は、しばしば「武人」や「王族」と訳されます。
しかし、その本質は「戦う人」ではありません。
守る人です。
弱い立場の人を守る。
秩序を守る。
正義を守る。
そして、自らのダルマを守る。
『バガヴァッド・ギーター』でアルジュナが苦悩したのも、戦いたかったからではありません。
戦いたくなかったからです。
目の前にいるのは敵ではなく、祖父であり、師であり、親族でした。
それでもクリシュナは、アルジュナに問いかけます。
「あなたは何を守るために生きるのか。」
この問いは、現代を生きる私たちにも向けられているように思います。
守護者という魂の原型を持つ人は、目立つことを望みません。
誰かに賞賛されることよりも、大切なものが失われないことを願います。
だから、その働きはとても静かです。
家族の安心を支える人。
長年にわたり地域活動を続ける人。
伝統文化を次の世代へ伝える人。
自然環境を守るために行動する人。
あるいは、一つの学校や、一つの理念を、何十年も守り育てる人。
その姿は華やかではないかもしれません。
しかし、そのような人がいるからこそ、社会には信頼という土台が生まれます。
一方で、守護者という原型にも課題があります。
それは、「守ること」が「変化を恐れること」へ変わってしまうことです。
大切なものを守りたいという思いが強いあまり、新しい価値観を受け入れられなくなることがあります。
しかし、自然を見れば分かるように、本当に生命力のあるものは、変化しながら生き続けています。
大樹は根を張りながらも、毎年新しい葉をつけます。
川は流れ続けるからこそ、美しい水を保ちます。
守ることと、変わること。
その両方の調和を学ぶこともまた、守護者の大切な修行なのだと思います。
私自身も、この二つの間で何度も考えてきました。
ヨガの本質は守りたい。
けれど、伝え方は時代に合わせて変わっていく必要がある。
だから私は、インドの智慧を大切にしながらも、現代を生きる人々に届く言葉で伝えたいと願っています。
伝統を守るとは、昔の形をそのまま残すことではありません。
その本質を未来へ受け渡していくことです。
それこそが、守護者という魂の原型が、この人生で学ぼうとしていることなのではないでしょうか。
そして、この世界には、守るだけではなく、新しい価値を生み出し、時代そのものを動かしていく魂があります。
次回は、「創造者」という魂の原型について、ブラフマーの創造原理とともに探究していきたいと思います。
RISHIKESH YOGASHALA
Yoga Wisdom
サティヤプレーマ
