前回の記事では、初めて訪れたインドで、一人の不思議な男性と出会ったことについてお話ししました。
その出会いは、恋愛とはまったく違うものでした。
むしろ私は、恋愛や再婚から最も遠い場所にいました。
最初の結婚生活で経験したことは、私にとってあまりにも大きかったからです。
夫の酒乱。
DV。
家庭の崩壊。
その経験を通して、私はもう二度と結婚はしないだろうと思っていました。
日本には未成年の子どもたちもいます。
守るべきものがありました。
だから再婚など、人生の計画にはまったくありませんでした。
けれど、リシケシでの日々は私の想像とはまったく違う方向へ進んでいきます。
アシュラムでは毎日学びが続いていました。
早朝からヨガ。
哲学の講義。
瞑想。
祈り。
そして昼休憩になると、私は自然と彼と会うようになっていました。
近くのアシュラム。
ガンジス川のほとり。
静かなカフェ。
毎日場所を変えながら、何時間も語り続けました。
当時はまだスマートフォンも普及しておらず、SNSもFacebookが中心の時代でした。
リシケシでWi-Fiを使うには、ネットカフェへ行くか、アシュラムの有料サービスを利用する必要がありました。
今のように一日中スマートフォンを見ている時代ではありません。
だからこそ、人と人との対話がありました。
私たちは毎日のように語り続けました。
人生について。
魂について。
人間について。
愛について。
死について。
そしてヨガについて。
彼は私より二十歳近く年下でした。
けれど私には年齢差を感じることがありませんでした。
むしろ逆でした。
それはまるで、グルと弟子が一対一で語り合うような時間でした。
もちろん形式上は違います。
けれど、私が知りたかったことを、彼は次々に言語化していくのです。
しかもサンスクリット語を用いながら。
聖典の知識としてではありません。
知識を超えた理解として。
私は幼い頃から、人間とは何か、生きる意味とは何かを問い続けてきました。
その問いに対する自分なりの答えも持っていました。
けれど彼は、それらを別の角度から鮮やかに言葉にしていきました。
私は彼との対話に夢中になりました。
恋愛感情ではありません。
学びでした。
探究でした。
そして、自分自身との対話でもありました。
そんな日々が三週間ほど続いた頃です。
ある変化が起きました。
夢です。
ビジョンです。
そしてデジャブです。
私は昔から、人生の節目のたびにそのような体験をすることがありました。
けれど成長するにつれ、その感覚を封印していました。
学校で生きるため。
社会で生きるため。
現実社会の中で適応するためです。
ところがリシケシでの日々の中で、その感覚が自然と戻ってきていました。
そしてある夜、私は夢を見ました。
彼が私にプロポーズをする夢です。
その場面はあまりにも鮮明でした。
そして私は、夢の中で一足先にその瞬間を体験していました。
だからこそ、YESかNOか。
人生を大きく左右する選択と静かに向き合う時間を与えられていたのです。
翌日。
現実は、その夢で見た通りに動き始めました。
私は驚きませんでした。
むしろ、
「ああ、やはり来た」
という感覚でした。
もちろんインドへ来ることを決めた時、結婚など想像したこともありませんでした。
再婚を望んでいたわけでもありません。
けれど私は、自分が何を選ぶのかをすでに知っていました。
家族の反対も予想できました。
年齢差もあります。
国籍も文化も違います。
現実的に考えれば、難しい理由はいくらでもありました。
けれど私は迷いませんでした。
なぜなら、その選択がどのような未来へ繋がったとしても、
私にとっても、
相手にとっても、
必ず学びと成長の機会になることだけは分かっていたからです。
うまくいくかどうかではありません。
幸せになれるかどうかでもありません。
その経験を通して何を学ぶのか。
私はずっとそこを見ていました。
それは幼い頃から変わらない、私自身の人生観でもありました。
人生に無駄な経験はない。
何を選んでも学びがある。
何を選んでも成長がある。
だから私は、その場で返事をしました。
後になって振り返ると、その結婚を通して私は数多くの大きな課題と向き合うことになります。
当時は知る由もありませんでしたが、過去から持ち越していたさまざまなテーマも、その後少しずつ明らかになっていきました。
けれど、プロポーズを受けたあの時の私は、そこまで分かっていたわけではありません。
ただ一つだけ確かなことがありました。
人生は私たちを成長へ導く。
喜びも。
苦しみも。
出会いも。
別れも。
そのすべてが。
私は昔から、そう信じていたのです。
次回は、家族や周囲の反対、そして国際結婚へ向けて動き始めた現実についてお話ししたいと思います。
RISHIKESH YOGASHALA
Yoga Wisdom
サティヤプレーマ
