女性は、一生の中で本当に多くの役割を生きています。
幼い頃は娘として。
やがて社会へ出て働く人として。
結婚すれば妻として。
子どもが生まれれば母として。
孫が生まれれば祖母として。
さらに親が年齢を重ねれば、介護を担う立場になることもあります。
一つの人生の中で、これほど多くの役割を経験する人は少ないのかもしれません。
その一つひとつは、とても尊いものです。
誰かを支え、
誰かを育て、
誰かを愛しながら生きること。
それは女性の人生を豊かに彩る、大切な時間です。
けれど、その一方で、こんな声を耳にすることがあります。
「子育てが終わって、何をしたらいいのか分からなくなりました。」
「仕事を辞めたら、自分が空っぽになった気がします。」
「家族のために生きてきたので、自分のことが分からなくなりました。」
それは決して特別なことではありません。
むしろ、とても自然なことなのです。
長い年月をかけて、役割に誠実に向き合ってきたからこそ、その役割が変わる時、大きな戸惑いが生まれます。
ヨガ哲学は、その戸惑いを否定しません。
そして、こんな問いを私たちに投げかけます。
「その役割がなくなった時、あなたは誰ですか。」
少しドキッとする問いかもしれません。
けれど、この問いは人生後半だからこそ、静かに心へ届きます。
ヴェーダーンタでは、人の本質をアートマンと呼びます。
アートマンは、年齢にも肩書きにも左右されません。
母であることも。
妻であることも。
仕事をしていることも。
人生の大切な経験ではありますが、それが本来の自己ではないと説いています。
だから、役割が変わることは、自分を失うことではありません。
むしろ、役割の奥にあった本来の自分に出会う機会なのです。
人生の前半は、多くの女性が「誰かのために生きる時間」なのかもしれません。
それは、とても尊い時間です。
しかし人生の後半には、
「私は、本当はどう生きたいのだろう。」
という新しい問いが訪れます。
その問いは、わがままではありません。
自分勝手でもありません。
長い年月をかけて役割を果たしてきたからこそ、人生がそっと与えてくれる、新しい学びなのです。
ヨガ哲学は、新しい自分を探しなさいとは教えません。
本来の自分を思い出しなさい。
そう静かに語りかけます。
役割を手放すことは、人生を失うことではありません。
役割の奥にある、本来の自分へ少しずつ還っていくこと。
それが、女性の成熟という旅なのではないでしょうか。
RISHIKESH YOGASHALA
Yoga Wisdom
サティヤプレーマ
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