ハタヨガとは? What is Hatha Yoga?


ハタヨガとは、次の7つのテクニックを用いたヨガの流派で、世界で最も広く受け入れられているスタイルです。

広い意味では、ポーズに取り組む、一般的なヨガやアシュタンガヨガ、アイアンガーヨガ、ホットヨガ、アロマヨガなども、ハタヨガのジャンル

に属します。

 

  ・ ポーズ・姿勢(アーサナ)
 ・ 調気・呼吸法(プラーナヤーマ)
 ・ 印相・手印や象徴的な体位(ムドラー)
 ・ シャットカルマ/クリヤ(浄化法)
 ・ バンダ(エネルギーの制御・ロック)

 ・ メディテーション(瞑想)

 ・ ドリスティ(視点、視線をおく場所、または視線の使い方)

 

古代インドのサンスクリット語で、「ハ=HA」は太陽、「タ=THA」は月、それぞれ、相反する対極の陽と陰のエネルギーを意味します。

この二つの言葉の意味を組み合わせると、”生命力とスピリチュアリティ”と解釈され、そこから転じて、一つに結ばれた陰と陽が織りなす、調和とパワーを意味することから、ハタヨガは、”肉体を通じ精神性を高めるヨガ”と解釈されています。

ハタヨガで行うポーズには、大きく分けて、3つのジャンルに分かれます。

 

①メディテーションアーサナ(瞑想のための座法)

②リラクゼーションアーサナ(瞑想に向かう準備のための心身をリラックスさせるポーズ)

③カルチュアルアーサナ(長時間の瞑想や日常の様々な変化に耐えうる強靭な心身を養うポーズ)  

 

~インド伝統式ヨガの特徴~

 

ヨガには約4500年の歴史があり、さらに歴史を辿ると1万年以上前のタントラを起源にしていることが分かっています。

健康やフィットネス、美容を目的とするエクササイズとして20世紀後半に欧米で大衆的にブームとなった”ハタヨガ”は、多くの場合、現在では、単に”ヨガ”と呼ばれています。

 

現在、ほとんどのスクールでも”ハタヨガ”と呼ばれるものは、19世紀後半から20世紀前半の西洋で発展した体操法・エクササイズに由来し、インド独自の体系として確立したインド伝統式ハタヨガとの繋がりはとても薄くなっています。

 

現代のヨガのクラスで行なわれているポーズを中心とした偏ったクラスは、インドでは、”創られた伝統”と言われています。

 

このように、現代式ヨガは心身の健康面(ともすれば肉体面ばかり)が強調されたエクササイズ的な側面が目立ちますが、ヨガの長い歴史をさかのぼってみると、人類最古の思想ヴェーダにさかのぼり、スピリチュアルな宇宙観・世界観・輪廻転生などの宗教観やインド哲学、自然医学・心の科学(心理療法)など様々な分野の基盤にヨガがあることが分かります。古来から伝わるインド伝統式ヨガは、身体的な面だけではなく心といった内面的な自己を深く探求することから始まり、”すべてのものは一つである”という梵我一如・ONENESSの視点から、自己と世界を捉え、”生き方・人としての在り方そのものをヨガに生きる”ことが目標となっています。

 

日本社会では、社会を震撼させたカルト事件があった影響で、ヨガのスピリチュアル的な側面が排除され、現在ではビジネスと結びついた、美容と健康面ばかりが強調されたヨガが流行していますが、本来のヨガは、スピリチュアル的な宇宙観や哲学・思想を語らずして、伝えることはできません。

 

~現代式(西洋式)ヨガの特徴~

 

現代式ヨガの特徴として、まず挙げられるのが、インドの伝統式ヨガが内面性を非常に重視する点と違い、西洋ヨガは解剖学や運動生理学の視点をベースに身体的エクササイズとしてヨガを体系的に学ぶことが多いという点です。

 

ポーズを練習する上での誤った体の使い方・癖・過信からくるケガを防ぎ、ポーズを心身の調整目的、セルフメインテナンス、セラピー的に用いることが多いのが特徴です。

 

肩こりが良くなる、痩せる、腰痛がよくなる、スタイルが良くなる、若返るなど、ヨガの効果として挙げられること自体は本来ヨガの目的ではなく、日頃の地道な鍛錬のもと私たちに与えられていく副産物のようなものです。

これらを”得る”ことにヨガの目的を置くことは、裏を返せば、”それらが、現在自分にない”ことを潜在意識にインプットし、そこから生じる不平不満や自己否定に繋がったり、もしくは、その目的が達成された際に、”執着心”やそれをなくした際の”不安””恐怖”といった心の悩みを新たに生み出すこととなり、ヨガ本来の”煩悩からの解放”や”今あるがままの自己や世界を受容することの幸福感が常にベースにある”というのと、逆行してしまうことに繋がりかねません。

 

もちろん、それらも現代社会で人々に求められているのが現状ならば、掛け替えのないヨガの智慧を有効活用しないほかはありません。

ただ、だからといって、ヨガの根底に流れる思想や哲学を疎かにして、知識に頼り切り、ヨガ思想と身体の知識(解剖・生理)を異なった講師が別々に教えていたり、決められたマニュアルを教えるだけで、個人個人の異なる身体への適応力や精神的な面のサポート養うことが出来ない場合も多く見受けられます。

 

当校は、ヨガの聖地と呼ばれる”インド北部ヒマラヤの麓、リシケシ”からやってきた、”アシュラム”をコンセプトとするヨガスクールです。

リシケシは、ヨガ発祥の地で、現代式ヨガを生み出した欧米諸国を中心に、世界中からヨガの愛好者や指導者が、アシュラムにヨガの学びを深めに訪れます。

アシュラムとは、”精神的な修行をする場所”という意味があり、ヨガ修行者が他の生徒とともにヨガの教えに基づいた共同生活を送る場でもあります。リシケシ以外にも、インドには多くのアシュラムが点在していますが、外国人を受け入れている場所はそう多くありません。

 

 

しかし、リシケシの多くのアシュラムは、ヨガの思想のONENESS~すべては一つ~を基盤に、外国人も身分も老若男女問わず、広く受け入れているところが多いのが特徴です。インド国内のみならず、世界中の方とヨガの考えを基盤に生活を共にすることで、文化・習慣・国境・人種を超えた交流の場となっています。