ヨガとは?


ヨガは、古代インドで生まれた心身と魂を統一するための実践法です。サンスクリット語で「結びつける」「統合する」を意味する「ユジュ」に由来し、身体的、精神的、スピリチュアルな調和を通じて、人生のあらゆる側面におけるバランスを目指します。単なる運動ではなく、ヨガは生き方そのものを変える力を持つ、深遠な哲学と実践の体系です。


インド伝統式ヨガの起源


ヨガの起源は約4500年前のインダス文明に見られますが、さらにそのルーツは1万年以上前の「タントラ」にまで遡ります。タントラは、宇宙のエネルギーと個人のエネルギーを統合し、調和を目指すスピリチュアルな体系であり、ヨガの基盤となりました。


タントラとは?



タントラ(Tantra)は、サンスクリット語で「広がり」や「織り成す」という意味を持ち、宇宙と人間のエネルギーを調和させることで、精神的成長と自己実現を目指すスピリチュアルな哲学体系です。以下のような特徴があります:

  1. 宇宙と個人のエネルギーの統合
    タントラでは、宇宙全体がエネルギーによって構成されていると考えられ、人間もまたそのエネルギーの一部であるとされています。このエネルギーを調和させることによって、内なる平和や悟りを得ることを目指します。

  2. 身体と精神を通じた実践
    タントラは瞑想、呼吸法(プラーナヤーマ)、マントラ、儀式などの実践を通じて、心と身体を結びつけ、深い気づきを得ることを目指します。

  3. 陰と陽の調和
    タントラの教えでは、宇宙に存在するエネルギーは、男性的エネルギー(シヴァ)と女性的エネルギー(シャクティ)の2つに象徴されます。この2つのエネルギーを調和させることで、完全なる統合に到達するとされています。

  4. 日常生活への応用
    タントラはスピリチュアルな教えであると同時に、現実世界での自己実現を促す実践でもあります。日常生活の中で自己を高め、他者や世界と調和する方法を教えてくれます。

タントラの教えは、ヨガの哲学や実践に深く影響を与えており、現代のヨガにおける精神性やエネルギーの概念の基盤となっています。タントラを理解することで、ヨガの真髄をより深く学ぶことができます。


インド伝統式ヨガと関連学問


インド伝統式ヨガは、単なる身体運動にとどまらず、次のような広範な学問体系と密接に関連しています:

 

■アーユルヴェーダとの関連

インドの伝統医学であるアーユルヴェーダは、ヨガと同じく「生命の科学」として、心身のバランスを整えることを目的としています。ヨガの呼吸法やポーズは、アーユルヴェーダの体質(ドーシャ)理論に基づき、健康維持や治療の一環として用いられます。

インド占星術との関連

インド占星術(ジョーティシュ)は、個々の人生や健康、運命に影響を与える惑星の動きを読み解く学問です。ヨガの実践は、惑星の影響を調和させ、個人のエネルギーを最適化するための重要なツールとされています。

インド風水との関連

インド風水(ヴァーストゥ・シャーストラ)は、住環境や建築におけるエネルギーの流れを最適化する学問です。ヨガはこれと連携し、個人の内的エネルギーと外的エネルギーの調和を目指します。

 

これらの関連学問を総合的に取り入れることで、インド伝統式ヨガは単なるフィットネスではなく、全人的な健康と自己実現のための包括的な実践法として機能しています。


シャットカルマ(6つの浄化法)の重要性



インド伝統式ヨガでは、実践を始める前にシャットカルマ(6つの浄化法)を行うことで、体内と心の浄化を促します。これにより、より深い瞑想やアーサナが可能になります:

  1. ネティ(鼻洗浄):鼻腔を洗浄し、呼吸器系を整える。
  2. ダウティ(消化管の浄化):胃腸を清め、内臓機能を改善する。
  3. ナウリ(腹部の浄化):腹部を動かして消化を促進し、エネルギーを調整する。
  4. バスティ(腸の浄化):水や空気を用いて大腸を洗浄し、健康を維持する。
  5. カパラバティ(頭蓋の浄化):短い呼吸を繰り返して心を活性化する。
  6. トラタカ(凝視):ろうそくの炎などを凝視し、精神集中を高める。

これらの浄化法は、健康の維持や精神の安定に寄与し、現代でも科学的にその効果が注目されています。


ナダヨガと音の力



音(ナダ)は、インド伝統式ヨガで宇宙の根源的なエネルギーとされ、心身を調和させる重要な要素です。現代では、様々な分野でサウンドヒーリングとしても活用されています。  

マントラチャンティング

聖なる音を繰り返し唱えることで、直感を司る第三の目を開き、宇宙からの啓示を得る力を養います。

キールタン

音楽とマントラを融合させたキールタンは、第8チャクラ(ソーマチャクラ / アムリタチャクラ)を覚醒させるとされています。このチャクラは、芸術性、創造性、女性性、アンチエイジングに関連し、内なる喜びと若さを引き出します。

第4チャクラ(アナハタチャクラ)

無条件の愛と調和を象徴するチャクラです。このチャクラを活性化することで、潜在意識を開き、二元性を超えた意識に到達します。

シンギングボウルやキールタンを用いたナダヨガは、音の振動を通じて内面的な浄化と至福の感覚をもたらします。


ハタヨガとは?


ハタヨガは、以下の7つの技法を含む統合的な実践法です:

  • アーサナ(ポーズ・姿勢)
  • プラーナーヤーマ(調気・呼吸法)
  • ムドラー(印相・手印や象徴的な体位)
  • シャットカルマ / クリヤ(浄化法)
  • バンダ(エネルギーの制御・ロック)
  • メディテーション(瞑想)
  • ドリスティ(視点・視線の使い方)

「ハ(HA)」は太陽、「タ(THA)」は月を意味し、陽と陰のエネルギーを調和させることで、心身の健康と内面の安定を実現します。


ヨガの八支則とは?


ヨガの八支則は、心と体、そして精神の調和を目指すための8つのステップで構成されています。
この教えは「パタンジャリのヨガスートラ」に基づいており、ハタヨガを実践する上での基本的な指針です。

1. ヤマ(Yama):社会的規範🌍

他者と調和して生きるための行動規範で、以下の5つを実践します:

  • アヒムサ(非暴力):あらゆる生命に対して暴力を避ける。
  • サティヤ(正直):誠実な言動を心掛ける。
  • アステヤ(不盗):他人の物を盗まない、羨まない。
  • ブラフマチャリア(禁欲):節制と自己コントロールを守る。
  • アパリグラハ(不貪):執着を手放す。

2. ニヤマ(Niyama):自己鍛錬✨

自己を整え、内面を磨くための指針で、以下の5つを実践します:

  • シャウチャ(清浄):身体と心を清潔に保つ。
  • サントーシャ(満足):現状に感謝し、満足する心を持つ。
  • タパス(自制):自己規律を守り、努力を続ける。
  • スワディヤーヤ(学び):聖典の学習や自己探求を行う。
  • イーシュワラプラニダーナ(信仰):宇宙や神への信頼を持つ。

3. アーサナ(Asana):ポーズ🧘‍♀️

身体をしなやかに強く保つためのポーズ。健康を向上させ、心身の調和をもたらします。


4. プラーナヤーマ(Pranayama):呼吸法🌬️

呼吸を制御することで、生命エネルギー(プラーナ)を高め、心の安定を得ます。


5. プラティヤハーラ(Pratyahara):感覚の制御👂👃

外部の刺激から意識を切り離し、内なる静けさを探求する段階です。


6. ダラナ(Dharana):集中🎯

意識を一点に集中させ、精神を安定させる訓練です。


7. ディヤーナ(Dhyana):瞑想🧘‍♂️

深い瞑想状態に入り、心を穏やかに保つ状態を指します。


8. サマーディ(Samadhi):悟り🌟

自己と宇宙が一体となる境地。ヨガの最終目標であり、究極の幸福と平和をもたらします。


これらの八支則は、心と体、そして精神を整えるための指針として、ハタヨガを実践する上での大切な基盤となります🕊️✨


まとめ


インド伝統式ヨガは、心身と自然界、宇宙との調和を目指す包括的な実践法です。アーユルヴェーダやナダヨガ、シャットカルマなどの技法と共に、ヨガを通じて健康と内面的な成長を追求します。

リシケシヨガシャラでは、この伝統に基づいた本格的なプログラムを提供しています。

“身軽に生き、光を広め、内なる輝きを大切に。” 

“Travel light, live light, spread the light. Be the light within.”

 

— RISHIKESH YOGASHALA